大きく2つ違いがあります。
ちのとれ | 一般の知育教育 |
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①障害のある子どもには、普通に教えたのでは上手くいきません。 障害による困難に配慮・工夫した、教え方のノウハウが「ちのとれ」になります。 | ①定型の子供たちを伸ばしてきた経験から発展している。そのため、教え方も定型の子供への教え方の域を大きくは出ない。 |
② 認知にはある程度順番があります。 ちのとれLv.1-5(ピタッと積み木~キューブ・ブロック)は、認知機能発達のための土台の部分、 例えて言うなら、運動でいうところの、腹ばいやハイハイにあたると考えています。 |
②自然発達での土台があることが前提となっているため、難易度が高くなる。 |
腹ばいやハイハイが正しく出来なくても、歩けるお子さんは沢山いますが、さらに速く走ったり、球技をしたりなどの、もっと上の運動機能を獲得してゆくのは、
とても困難になるのは想像できるでしょう。
認知もそうです。この伝統的に赤ちゃんが行ってきた遊び(コップ重ねや型はめなど)の中で育つ認知機能は、その先に積み上がってゆく知的発達のための大切な土台となります。
文字は読めるけど、コップ重ねやペグが出来ないまま小・中・高校生になっている知的障害者は驚くほど沢山います。そのように土台の欠けていることが、どれほどの生きる上での知的理解や、抽象概念の獲得に問題を生じさせていくか、想像に難くありません。
例えば知的障害のある幼い子供に、コップ重ねのおもちゃを与えると…
定型発達のこども
障害のある子ども
遊びながら育っている力←障害ゆえに育ちにくい状況になる
ここで紹介している「ちのとれ」教材は、比較的軽度の障害で字が読めたり、特に障害はない幼児で少し遅れ気味、くらいだと必要ないと思われがちです。
しかしながら、定型のお子さんでも、少し保護者の方が不安を感じているような幼児さんですと、大概出来ないところが出てきます。
字や数字が読めるとか、おしゃべりが出来るとか、そういった力とは全く違った認知的要素があります。
出来たとしても、効率の悪いやり方であったり、ちょっと手順を変えられると混乱したりします。
はやい段階で、ちょっとした抜け落ちに気づき、土台をしっかりしておくことをお勧めしています
こども発達研究所には、少し人と理解が違うとか、分からない事が多いといった悩みをかかえる大人の方も来られています 。きっと幼いころに、このようなサインがあったのでは?と考えます。
特にまだ障害があるとか言われたわけでは無いにも関わらず、息子さんの発達に不安や疑問を抱いて来られたN君の症例を紹介しましょう。
初めて来られたのは年中さんの夏。落ち着きがなく、集団行動で少し特異な行動が見られるとの事でした。課題に取り組むのが不安なのか、色々言い訳をしながら逃げ回る態度が見うけられました。
その後、月1回くらいの頻度で定期的に通ってこられました。最初は「ちのとれ」教材から開始し、フォイヤーシュタイン教材へと移行してゆきました。その期間のN君の絵の変遷です。
最近では、自信がついてきたのか、自分からチャレンジして頑張る姿勢が出てきました。算数も作文も大変上手になってきました。早い段階で少し介入してあげると、 チャレンジから逃げ回って伸びる機会を逃す、という悪状況から脱することが出来た良い例です。
出来なくていい、何も分からなくてもいい、そのままで楽しく生きてくれればいい
楽しく生きてくれればいいは、全ての親が思う事でその通りだと思うのですが、
何も理解していない、何も出来ないと思われ続けるのが、
本当に幸せで楽しい事なのかは疑問です。
障害のために大変困難というだけで、伸びる力も、理解する力も、その子なりにあります。
どんな子供も、成長したい、認められたいと思っているはずです。
定型発達と比較するのではなく、その子の中の成長を見据え、信じ、サポートし続けることは、子供の自己肯定感へと繋がります。
障害児は話せないゆえに気づいてもらえなかったりしますが、とても自己肯定感が低く、心が荒れている子が多いです。
それは、楽しく生きてくれればいい、という願いからは、とても離れたものに見えます。